2016年05月12日
【佐野美術館】銅版画家・浜口陽三 やわらかな闇の中で【〜6/5】

創立50周年を迎える佐野美術館(中田町)、春の特別展は日本を代表する版画家・浜口陽三の展覧会です。
浜口陽三(1909-2000)はカラーメゾチントという技法を確立して独自の世界を開拓し、日本とパリを拠点に活躍した銅版画家です。
本展では、代表作約70点を紹介しています。

銅版画の作品の多くは、黒い背景にさくらんぼやレモン、クルミなどの小さなモチーフが並んでいるのですが、
この黒が深く、でもとても優しげで、サブタイトルにある「やわらか闇」という表現がぴったりだなと思いました。

私は、この《西瓜》が一番気に入りました。
展覧会では、近年生家より発見された尋常小学校時代のスケッチや、
30代から40代にかけて様々な表現を模索していた頃の油彩画をはじめ
身の回りの品や、愛用の画材、作品の原版といった資料もご覧いただけます。


もしかしたらご年配の方はご存知なのかもしれないのですが、
浜口陽三は伊豆とも関係の深い作家でした。
戦後、病気療養のために下田の蓮台寺温泉に2年程滞在し、その飾らない人柄で地元の人々と親しく交流したそうです。
現地開催された浜口の展覧会や宿泊した温泉の資料なども展示されていました。

大岡信「詩稿ノートNO.17」 1985年1月〜4月 大岡信ことば館蔵
また、三島出身の詩人・大岡信が浜口陽三作品に寄せた詩も展示されていました。
「浜口陽三の四人のサクランボ」「浜口陽三のための光の船」と題されたふたつの詩は
浜口作品の魅力が的確に、でも親しげに表現されていたように感じました。
どんな詩かは、ぜひ会場でご覧ください。
作品と向き合い、静かな時間を満喫できる展覧会です。
佐野美術館創立50周年・三島市制75周年 記念
銅版画家・浜口陽三
やわらかな闇の中で
平成28年4月23日(土)~平成28年6月5日(日)
入 館 料一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円
※毎週土曜日・5月5日(木・祝)小中学生無料
※15名以上の団体は各2割引
開館時間10:00~17:00(入館の受付は16:30まで)
休 館 日木曜日(5月5日は開館)
主 催佐野美術館、三島市、三島市教育委員会
後 援静岡県教育委員会
協 賛伊豆箱根鉄道株式会社
webサイト
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