2015年04月06日

【研修】取手アートプロジェクトのTAP塾

こんにちは、すみです。
桜もあっという間に満開になり、すっかり春らしくなりました。

今日は、三島の話ではなく、他の地域で行われている先進的な事例を学んだ研修の様子をレポートします。

茨城県取手市という、茨城と千葉の県境にある都心のベッドタウンで行われている、
取手アートプロジェクト(TAP)」のプログラム「TAP塾」公開シンポジウムに参加しました。
TAPは、取手市民と取手市、キャンパスのある東京芸術大学の三者が共同で1999年からおこなっているアートプロジェクトです。
取手市には「文化芸術課」があり、「アートのあるまちづくり推進事業」を進めています。

参加したプログラムのテーマは「アートプロジェクトで食べていく」です。
今回の企画は、地域の中で活動する「アートマネージャー」は生業になりうるか? をテーマに一般参加者を含めた合宿と公開シンポジウムの2日間のプログラムでした。(2日目のみ参加)
シンポジウムのホスト&ゲストは、
藤浩志さん(藤浩志企画制作室代表、美術家、十和田市現代美術館館長、秋田公立美術大学教授)
熊倉純子さん(東京藝術大学音楽環境創造科教授/取手アートプロジェクト実施本部長)
森司さん(東京アートポイント計画ディレクター/取手アートプロジェクト実施副本部長)の3名です。
【研修】取手アートプロジェクトのTAP塾
左から、藤さん、森さん、熊倉さん、羽原康恵さん(TAP塾2015塾長)
後ろには、1日目の合宿で出た課題や疑問がたくさん貼ってありました。

シンポジウムのゲストの他に、TAPでの活動を経て各地で芸術と社会を繋ぐ役割を担いながら実践している現役アートマネージャー17名が取手に集合し「チューター」として参加されていました。
つまり、かつて「TAP塾」で学んだ生徒と先生が同窓会のように集まっている感じでした。

「アートマネージャー」という職業は、私が大学生だった十数年前に、ようやく聞かれ始めた言葉で、アートと社会の橋渡しをする役割なのですが、その頃は「アートマネージャーとして職を得る」というのは、「アーティストとして食べていく」と同じくらい現実味のなかったように思います。
しかし、今回チューターとして参加されていた17名の方は、全国各地の現場で活躍されている方で、それぞれNPOなり公益法人なり行政なりの職員という形で給料を得ている=食べている方々でした。
(同世代の方が多く、親近感)

シンポジウムは、合宿参加者からの質問を受ける形で進んで行きました。
例えばこんな質問が出ました。
●労働環境(家族を養えるか)
●助成金頼りでよいか 
●批評の有無
●日本型アートプロジェクトとは 
●広報について
●失敗の具体例
●アートマネージャーを増やしていくためには
●プロジェクトの最期(いい臨終)

それぞれの答えは割愛しますが、同じ方向に向かい、悩みを抱えている仲間ならではの話題ばかりでした。

前半はホスト&ゲストの3名が答え、後半はチューターの方々が答えました。
【研修】取手アートプロジェクトのTAP塾
立っているのがチューターの皆さんです。

熊倉先生が、「アートプロジェクトが、小学校のように各地で当たり前にあるものになればよい」おっしゃっていました。
アートは今多くの人が欲しいものではなく、「次の時代の価値観のための実験」なのだから、助成金がそこに使われるのは正しいことである、とも。
今、全国各地で様々なアートプロジェクトが行われていますが、「流行っているからそのうち廃れるだろう」ではなく、人と街が生き生きとするためのひとつの方法として、もっともっと普通に行われ、アートマネージャーという専門職が普通の職業として認知される世の中になったらいいなと思いました。


★おまけ★
【研修】取手アートプロジェクトのTAP塾
取手駅ホームの待合室(待合室ラッピングプロジェクト「MACHIAI」)…取手在住のアーティスト・傍嶋賢さんによるもの

【研修】取手アートプロジェクトのTAP塾
JR高架下の壁画…取手市内には壁画がたくさんあります。
こちらは2003年に「壁画プロジェクト」として当時藝大院性だった住康平さんが原画を描き、学生・市民が協働して描かれたものです。
住康平さんは今三島に住んでいるので、ここで三島とつながりました…!


TAP塾2015「アートプロジェクトで食べていく」公開シンポジウム

日時:平成27年3月29日(日)13:00-17:00
会場:取手市福祉交流センター 1階 多目的ホール(茨城県取手市寺田5144-3)
◎内容:
13:00-13:20イントロダクション
13:20-14:50第1部 アートプロジェクトは“生業”になるか? 現場1問1答!
15:00-16:30第2部 TAP塾からの10年と、アートプロジェクトのこれから
16:30-17:00アートマネージャー交流会

◎パネリスト
藤浩志(藤浩志企画制作室代表、美術家、十和田市現代美術館館長、秋田公立美術大学教授)
熊倉純子(東京藝術大学音楽環境創造科教授/取手アートプロジェクト実施本部長)
森司(東京アートポイント計画ディレクター/取手アートプロジェクト実施副本部長)

◎チューター 17名
※2004年から2006年に実施されたインターンシップ制度「TAP塾」を中心に、TAPでの活動を経て現在各地で活躍するアートマネージャー
奥村圭二郎・五十殿彩子・羽原康恵[取手アートプロジェクト]
植田裕子[NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)]
大澤苑美[八戸市 芸術環境創造専門員]
大内伸輔・坂本有理[東京アートポイント計画]
澤田諒[美術展示専門コーディネーター]
友井まどか[NPO法人アートネットワーク・ジャパン]
豊田亜美[柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)]
長津結一郎[NPO法人多様性と境界に関する対話と表現の研究所]
及位友美[voids/一般社団法人ノマドプロダクション]
林絵梨佳[ヨコハマトリエンナーレ2014 広報アシスタント]
松岡真弥[アサヒ・アートスクエア ディレクター]
谷地田未緒[国際交流基金 クアラルンプール日本文化センター文化事業部]
渡邉梨恵子[一般社団法人谷中のおかって]
伊藤達矢[東京都美術館×東京藝術大学「とびらプロジェクト」



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